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介護業界の危機:休廃業が過去最多、訪問介護の苦境を探る

目次

2024年、介護事業者の休業や廃業が過去最多の600件を超えたことが、信用調査会社の調査で明らかになりました。この数は調査開始以来、最も多いものとなっており、特に訪問介護事業者がそのうちの7割以上を占めています。本記事では、この休廃業の実態や背景、要因を分析し、今後の介護業界の展望について考察します。

参考資料:東京商工リサーチ 2024年「老人福祉・介護事業」の倒産、休廃業・解散調査

休廃業の実態について

2024年、全国で600件以上の介護事業者が休業または廃業した。このうち約70%が訪問介護事業者であり、特に訪問介護事業者の休業・廃業が目立った。

訪問介護事業者とは

訪問介護事業者とは、介護職員が利用者の自宅を訪れ、日常生活の支援を行う事業者である。具体的な支援内容は以下の通りである。

食事の準備: 高齢者や障害者のために、食事の準備を行う。調理や食事のサポートも含まれる。

掃除や入浴のサポート: 利用者の自宅で掃除や洗濯を行い、入浴の際のサポートをする。

日常生活の支援:

  • 買い物代行: 必要なものを買い物に行って手配する。
  • 移動の補助: 移動が困難な場合に、外出や通院などの際にサポートを行う。

介護業界全体に影響を与える要因

介護業界全体が経営的に厳しい状況に陥っている主な原因は以下の3点である。

  1. 人手不足

    • 介護職員の確保が困難であり、特に地方では人手が不足している状況が続いている。
    • 高齢化社会が進む中で、需要は増加する一方、従業員の確保が追いついていない。
  2. 低い給与

    • 介護職員の給与が他の業種に比べて低く、仕事に対する報酬が不十分である。
    • 給与が低いため、離職率が高く、安定した人材の確保が難しい。
  3. 経営の不安定さ

    • 利用者数の減少や、行政からの支援が不足していることが、事業運営を不安定にしている。
    • 経営不振が続く中、事業継続が難しくなり、休業や廃業に至る事業者が増えている。

これらの要因が複合的に作用し、多くの介護事業者が経営困難に陥り、休業や廃業を余儀なくされている。

休廃業が増加した主な要因

介護報酬改定の影響

  •   介護報酬の増加が見込まれていなかった通り、実際に報酬が増加せず、介護事業者の収益が低迷した。
  •   介護サービスを提供するために必要な人件費や施設の運営費は増加しているが、受け取る報酬額はそれに見合っていない。
  •  このような収益の減少とコストの増加が原因で、介護事業者は経営の悪化を招き、結果的に休業や廃業を余儀なくされる事例が増えた。

人手不足の深刻化

  •   介護業界全体で人手不足が進行しており、特に訪問介護サービスの現場では、スタッフの確保が非常に困難になっている。
  •   介護職員(ヘルパー)の離職率が高く、新規採用も難航しており、必要な人員を確保することができない状況が続いている。
  •   人手不足が進行することで、サービスの提供が難しくなり、事業の運営に支障をきたし、経営が一層困難となっている。

経営の厳しさ

  •    物価の上昇や人件費の高騰が、介護事業者の経営を圧迫している。
  •   生活費や事業運営に必要なコストが増加しており、これに対する資金繰りが非常に厳しくなっている。
  •   経営の維持が難しくなり、結果として休業や廃業を選ばざるを得ない事業者が増加している。

訪問介護事業者への影響

効率の悪さ

  •   訪問介護では、利用者の自宅を訪問するための移動時間が多く、その分業務の効率が悪くなる。
  •   移動時間が長いことで、1日に訪問できる件数が限られ、結果としてコストが高くなりやすい。

報酬単価の低さ

  •   訪問介護の報酬単価が低く、事業を継続的に運営するために必要な費用(人件費、交通費、施設維持費など)を十分に賄うことが困難。
  •    報酬単価の低さは、事業運営の安定性を脅かす要因となる。

介護職員の確保の難しさ

  •   介護職員を採用し、育成するには時間とコストがかかる。
  •    高い採用・教育コストにより、十分な数のスタッフを確保することが難しく、特に人手不足が問題となる。

利用者の減少リスク

  •   利用者数が減少すると、事業運営が急速に厳しくなり、収益が大幅に減少する。
  •   利用者数の減少によって、経営が立ち行かなくなるリスクが高まる。

 これからの介護業界の展望

ICT(情報通信技術)の活用

  •   スケジュール管理や記録作成など、業務のデジタル化を進める。
  •    これにより、業務の効率が向上し、介護職員の負担が軽減される。

報酬制度の見直し

  •    訪問介護事業者が安定的に運営できるよう、報酬制度の改善が必要。
  •    具体的には、介護サービス提供に対する報酬の適正化が求められる。

人材確保と定着支援

  •    介護職員の待遇を改善し、キャリアパスを整備することで、離職率を低減させる。
  •    給与や福利厚生の改善、昇進やスキルアップの機会を提供することが重要。

事業者間の連携強化

  •   他の介護事業者や異業種との協力体制を構築する。
  •     経営の安定化を図るため、情報共有やリソースの共有を進める必要がある。

介護業界の未来に必要な対応

  介護業界の未来を安定させるためには、事業者が安定した運営環境を整え、持続可能な運営を実現するための体制強化が必要である。

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田中恵理子@ファミーユ採用マーケティング担当
著者:田中恵理子@ファミーユ採用マーケティング担当
介護現場・保育現場の経験、それに加えて、IT・SNSマーケティングについての関心が強く独学を続けてきました。ファミーユの良さを日々伝えていきたいと思っています。
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