
訪問介護事業の赤字解消法:廃業を避けるために必要な行動と手続き

訪問介護事業所の経営は、急激に変化する市場環境や地域のニーズの影響を大きく受けるため、事業者は常に柔軟に対応することが求められます。しかし、介護報酬の改定や新型コロナウイルスの影響、そして人材不足など、さまざまな問題が重なり、赤字経営に陥る事業所も少なくありません。こうした状況の中で、廃業や閉鎖を検討する経営者も増えてきています。本記事では、廃業を決断する前に取るべき行動や手続きをご紹介し、事業所が持つ持続可能な経営への道筋を模索します。
訪問介護事業所が廃業を考える理由
訪問介護事業所が廃業を検討する背景には、いくつかの要因が重なっていることがあります。以下に具体的に説明します。
介護報酬改定とその影響
介護報酬の引き下げ
- 介護報酬が改定されると、報酬単価が引き下げられることがあります。
- これにより、事業所の収益が減少し、特に小規模な事業所では利益を維持するのが難しくなります。
- 結果として、経営が厳しくなり、廃業を検討する事業所が増えます。
経営戦略の見直し
- 介護報酬改定後、事業者は新しい報酬体系に対応するため、運営方法やサービス内容を見直さなければなりません。
- 具体的には、無駄なコストの削減や、他の高需要サービスへのシフトなどが必要になることがあります。
新型コロナウイルスとその後の影響
訪問サービスの制限
- 新型コロナウイルスの流行により、感染拡大を防ぐために訪問介護サービスの提供が制限されることがありました。
- その結果、サービス提供が困難になり、収益が減少しました。
利用者の減少
- 新型コロナウイルスを避けるため、利用者が訪問介護サービスを控えるようになったり、施設への入所が増えることで、訪問介護の需要が減少しました。
- これにより、事業所はサービスを提供する機会が減り、経営が悪化しました。
サービス提供の難易度上昇
- 感染防止対策を徹底する必要があり、訪問介護サービスの運営が複雑化しました。
- 特に感染対策をしながら通常通りのサービスを提供することが難しく、結果として経営状況がさらに悪化し、廃業を考える事業所が増加しました。
地域ニーズの変化と人材不足
地域のニーズの変化
- 高齢者のニーズは地域ごとに異なり、時間とともに変化します。
- 例えば、高齢者が自宅での介護から施設への移行を進める場合、訪問介護サービスの需要が減少することがあります。
- この変化により、訪問介護事業所は需要が減少し、廃業を検討せざるを得なくなることがあります。
人材不足
- 介護職員の確保が難しく、十分なスタッフを揃えられない事業所では、サービスの質が低下します。
- 特に小規模な事業所では、限られた人数で運営しなければならず、人材の確保が困難です。
- このため、経営が成り立たなくなり、廃業を選択することが多くなります。
ニーズ減少と人材不足の重なり
- 地域の高齢者ニーズが減少し、人材不足が進行すると、事業所は収益が減少し、サービス提供が難しくなります。
- この2つの問題が重なることで、経営者は廃業を決断することが増えます。
これらの要因が複合的に絡み合い、訪問介護事業所は廃業を検討するに至ります。
赤字経営から廃業を決断する前に試すべき改善策
赤字経営を続けているからと言って、即座に廃業を決断するのではなく、まずは経営改善を試みることが重要です。
経営改善の第一歩:収益の見直し
- まずは収益面の見直しを行いましょう。
- サービスの価格設定や提供方法を再評価し、効率化を進めることが必要です。
- また、無駄な支出を削減するために、事業所運営にかかるコストを精査することが効果的です。
人材確保の方法と採用戦略
- 人材不足は多くの訪問介護事業所の悩みの種です。求人の見直しを行い、積極的な採用戦略を検討することが必要です。
- また、スタッフの定着率を高めるために、働きやすい環境づくりや研修制度の充実が求められます。
サービスの見直しと地域連携の強化
- 地域のニーズに対応したサービスの見直しも重要です。
- 高齢者のニーズに応じた新しいサービスを提供したり、地域の医療機関や他の介護事業所と連携することで、事業所の存在価値を高めることができます。
廃業を決断する前に取るべき行動
経営改善を行っても赤字が続く場合、廃業を決断する前に取るべき行動があります。
財務整理と資金調達の検討
- まずは事業所の財務整理を行い、資金繰りの改善を図ります。
- 必要に応じて、金融機関や自治体からの支援策を利用することも検討しましょう。
税務署・自治体への報告義務
- 廃業を決断した場合、税務署や自治体への報告義務があります。
- 必要な手続きを事前に確認し、スムーズに進めることが重要です。
スタッフへの通知と再配置の考慮
- 廃業決定後はスタッフへの通知と、再配置の支援を行うことが必要です。
- スタッフの雇用先の紹介や再就職支援を提供することが求められます。
訪問介護事業所の廃業手続きの流れ
廃業の手続きを行う際、いくつかの重要なステップがあります。
廃業届の提出とその手順
訪問介護事業所を廃業する際には、事業所の閉鎖を正式に認めてもらうために廃業届を提出する必要があります。以下の手順で進めましょう。
廃業届の提出先の確認
- 廃業届は、主に税務署と自治体に提出する必要があります。
- 事業所が所在する地域の管轄の税務署や自治体の担当部署を確認します。
必要な書類の準備
- 廃業届(税務署所定の用紙)
- 事業所の登記簿謄本(法人の場合)
- 許可証や認可書(訪問介護事業所の場合、介護保険事業者の指定通知書等)
- 解散報告書や決算書(法人の場合)
- その他、税務署や自治体が指定する書類(例:青色申告決算書)
提出方法の確認
- 廃業届は、通常、書面での提出が必要です。
- 一部自治体ではオンライン提出が可能な場合もあるため、事前に確認しておくと便利です。
提出後の確認
- 提出後、税務署や自治体から受理証明や廃業確認の通知が来る場合があります。
- 廃業届が正式に受理されたことを確認し、必要な書類を保管しておきましょう。
納税義務の整理
- 廃業届を提出した後も、最後の税務申告や納税が必要になる場合があります。
- 必要に応じて、税理士などの専門家に相談して、納税の手続きを進めます。
この手順を踏んで、事業所の閉鎖を正式に手続きすることができます。
廃業届を提出することで、事業所の正式な閉鎖が行われます。事前に必要な書類や手続きを確認し、確実に提出を行いましょう。
介護保険事業者の解除手続き
- 介護保険事業者として登録されている場合、介護保険の利用契約を解除する手続きも行います。
- これにより、事業所としての義務を正式に終了させることができます。
資産の処分と契約の整理
- 事業所の資産や在庫、契約の整理も行います。
- 借入金や設備の処分、取引先との契約解除などを整理し、残りの負債を処理します。
廃業後の事業者とスタッフへの対応
廃業後には、事業者やスタッフへの適切な対応が求められます。
スタッフの再就職支援
- スタッフが再就職できるように支援を行います。
- 求人情報を提供するほか、転職支援サービスを活用することも有効です。
取引先や利用者への通知と引継ぎ
- 取引先や利用者に廃業の通知を行い、引継ぎが必要な場合はその手続きを行います。
- 利用者のケアが途切れないよう、引継ぎ計画を立ててスムーズな移行を目指します。
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著者:田中恵理子@ファミーユ採用マーケティング担当
介護現場・保育現場の経験、それに加えて、IT・SNSマーケティングについての関心が強く独学を続けてきました。ファミーユの良さを日々伝えていきたいと思っています。