介護報酬減算の回避法:BCP未策定施設は準備急務

目次

介護業界において、BCP(業務継続計画)未策定による介護報酬減算が2025年4月から本格的に適用されることが決定しました。昨年4月に施行された介護報酬改定で、感染症や災害などの緊急時に業務が継続できる体制を確立するため、BCPを策定していない事業所・施設には報酬が減算されることとなりました。現在、1年間の経過措置期間が設けられていますが、その終了期限が迫っています。残り2ヶ月となった今、未対応の事業所・施設はできるだけ早急に準備を進めることが求められます。

 BCP(業務継続計画)とは 

BCPの定義

  • 災害や感染症、その他の緊急事態において、事業運営を継続するための計画。 業務を停止させず、事業を継続するために必要なリソース(人員、施設設備)を確保し、迅速に対応できる体制を整える。

介護業界におけるBCPの重要性

  • 介護施設では、利用者の安全を守るため、緊急時にもサービスが途切れないようにすることが必要。
  • 高齢者や障がい者など、支援が必要な脆弱な利用者が多いため、特に緊急時のBCPが極めて重要。

なぜBCPが必要なのか

業務継続のため

  • 非常時でもサービス提供を続けるため
    災害や感染症などの緊急事態が発生した際、通常の業務が中断してしまうと、サービスが提供できなくなり、施設や事業所の運営に大きな影響を与えることになります。BCPは、そのようなリスクに備え、業務を継続できる体制を整えるために必要です。例えば、職員が不足した場合でも代替要員を確保したり、施設の設備が被害を受けた場合に迅速に復旧できる計画を立てたりします。

  • 事業所の経済的影響を防ぐため
    業務が停止することで、売上や収益が減少し、最悪の場合、事業所が存続できなくなる可能性もあります。BCPを策定することで、業務の中断を最小限に抑え、経済的な損失を防ぐことができます。

利用者の安全確保

  • 緊急時でもサービスが途切れないようにするため
    介護施設や事業所では、利用者の命や健康を守ることが最も重要です。災害や感染症のような非常事態においても、介護サービスが途切れないようにするための計画がBCPです。例えば、避難訓練や非常時の連絡手段を確保することで、利用者の安全を確保します。

  • 利用者の命と健康を守るため
    高齢者や障がい者など、支援を必要とする利用者にとって、緊急時の対応が遅れると命にかかわる問題が生じることがあります。BCPを策定しておけば、利用者に必要な支援がすぐに提供できる体制を作り、命や健康を守ることができます。

介護業界の特性

  • 高齢者や障がい者の特別なニーズに対応するため
    介護を受けている高齢者や障がい者は、急な支援が必要な場合が多いです。例えば、病気や怪我、認知症の進行などで急に介助が必要になることがあります。そのため、非常時にどのように対応するか、あらかじめ計画を立てておくことが非常に重要です。

  • 施設の特性に応じた計画が求められる
    介護施設ごとに提供するサービスの内容や施設の規模が異なり、必要なBCPも異なります。例えば、入所型の施設では避難経路の確保や医療支援体制が重要で、訪問介護では職員の安全確保や代替手段が求められます。介護業界の特性に応じた計画を立てることが、非常時に役立ちます。

 介護報酬改定の背景

昨年4月の介護報酬改定

  • 新しい報酬改定が施行された
    2024年4月に行われた介護報酬改定では、介護サービスの質を向上させるためにさまざまな変更が加えられました。その中で、BCP(業務継続計画)の策定が重要視されるようになったことが特徴的です。

BCP未策定施設に対する報酬減算措置

  • BCP未策定施設への減算措置が新たに導入された
    介護報酬改定では、施設が災害や感染症などの緊急時に対応できるよう、BCPを策定していない施設に対して報酬の減算措置を適用することが決定されました。これは、施設が非常時に適切に対応できる体制を整えていない場合、報酬が減額されるという措置です。

  • 減算の目的
    この減算措置の目的は、施設にBCP策定を促し、業務が滞らないようにするためです。緊急事態に備えることで、利用者の安全を守り、介護サービスの品質を維持することが求められます。

新型コロナウイルス感染症の影響

  • コロナ禍で業務滞るリスクが顕在化した
    新型コロナウイルスの感染拡大により、介護施設でも業務が滞るリスクが高まりました。スタッフの感染や外出制限、利用者への感染拡大など、さまざまな問題が発生し、緊急時の対応力が問われるようになりました。

  • BCPの重要性が強調された
    コロナ禍の影響を受け、業務を止めず、迅速に対応できる体制が求められるようになりました。このため、BCPの策定が義務化され、未策定の施設には報酬減算が適用されることとなったのです。

減算措置の適用

  • 未策定施設への減算が決定 介護報酬改定により、BCPを策定していない施設には、2025年4月以降、報酬が減算される措置が適用されることが決まりました。これは、緊急時の対応能力を高めるため、施設に強い対策を求める意図があります。
  • 減算措置の具体的な影響
    減算措置が適用されると、施設の収益に直接影響が出るため、事業運営が厳しくなる可能性があります。これを回避するためには、早急にBCPを策定することが必要です。

BCP未策定による減算措置

減算措置の適用開始日

2025年4月1日以降、すべての介護サービスに対して、BCP(業務継続計画)が未策定の施設に報酬減算が適用されます。

減算の目的

この措置は、緊急事態に対応できる計画がない施設に対して、介護報酬を減額することによって、BCPの策定を促すものです。

減算額はサービスごとに異なる

減算の具体的な額は、提供している介護サービスの種類によって異なります。そのため、各サービスに応じた対策が求められます。

BCP未策定施設への影響

BCPを策定していない施設や事業所は、報酬が減額されるため、速やかにBCPを策定する必要があります。

BCP策定の重要性

BCP策定は介護報酬に直接影響を与えるため、未対応の施設は早急に対策を講じることが非常に重要です。

経過措置の終了とその影響

経過措置の終了日

経過措置は2025年3月31日で終了します。

措置の本格適用開始日

2025年4月1日以降、BCP(業務継続計画)が未策定の施設に対して、減算措置が本格的に適用されます。

準備期間の終了

1年間の準備期間が終了したことにより、今後はすべての施設がBCPを策定していることが必須となります。

BCP未策定による影響

経過措置期間中にBCPを整備しなかった場合、報酬の減算措置が適用され、経済的な影響を受けることが確実です。

早急な対応策

BCP策定の優先対応
施設や事業所は、2025年4月1日の減算措置開始に間に合うよう、BCPを早急に策定する必要があります。

リスクアセスメントの実施
どのような緊急事態が考えられるか、施設内でリスクアセスメントを行い、その上で対応策を明文化することが求められます。

専門家への相談
時間がない場合や対応に不安がある場合は、外部の専門家に相談して、早期にBCP策定を進めることが推奨されます。

職員教育と訓練
BCPを策定した後、職員に計画内容を周知し、実際に訓練を行うことで、緊急時の対応力を高めることが重要です。

計画書の提出と報告
BCPが策定できたら、関係機関への提出や報告を忘れずに行うようにしましょう。

 サービス類型ごとの対応策

 BCP策定の具体的な対応策は、提供するサービスの種類によって異なります。例えば、訪問介護、通所介護、施設介護など、各サービスにはそれぞれに適したBCPが必要です。サービスごとに求められる要素は異なるため、適切な策定が必要です。 

訪問介護:職員の安全確保や訪問スケジュールの調整、代替手段の確保が重要 

通所介護:利用者の移動手段や施設での対応体制、非常時の支援体制が求められる 

施設介護:施設内の防災計画や、避難訓練の実施、感染症対策が重要な要素となる

  事業所・施設へのアドバイス 事業所・施設は、早急にBCP策定を進めるべきです。まずは、施設内でのリスクアセスメントを行い、どのような緊急事態が想定されるかを洗い出すことから始めましょう。その後、対応策を明文化し、関係者全員に周知することが重要です。 

準備が間に合わない場合、外部の専門家に相談することも検討すると良いでしょう。具体的な対応方法としては、以下のステップを実行することが推奨されます。

リスクアセスメントの実施

  • 目的: 施設や事業所が直面する可能性のある緊急事態やリスクを特定し、その影響を評価すること。
  • 内容: 自然災害や感染症、その他の事故など、どのような状況に備えるべきかを洗い出し、それらのリスクに対する対応策を考えます。

BCPの策定

  • 目的: リスクアセスメントで特定されたリスクに対応するための「業務継続計画(BCP)」を作成すること。
  • 内容: 緊急時でもサービスが途切れないようにするため、具体的な対応手順やリソース(人員や設備)を整備し、緊急時の役割分担を決めます。

職員教育と訓練の実施

  • 目的: 計画したBCPを職員全員に理解させ、実際の緊急時に迅速に対応できるようにすること。
  • 内容: BCPに基づいた訓練やシミュレーションを実施し、職員が緊急時にどう行動するかを学びます。

計画書の提出と報告

  • 目的: 完成したBCPを関係機関に提出し、進捗や内容を報告すること。
  • 内容: BCPを公式な文書としてまとめ、必要な場所に提出・報告を行い、必要な認証や確認を得ます。

4月からBCP未策定で減算!今すぐ準備を!

 BCP未策定による介護報酬減算が4月から全サービスで適用されるため、経過措置終了までにしっかりと準備を整えることが重要です。未対応の事業所・施設は、早急にBCPを策定し、報酬減算を回避しましょう。業務継続計画の策定は、施設の経営やサービス提供の質を守るためにも重要な要素です。適切な準備を進め、影響を最小限に抑えるための行動が求められます。

ファミーユのBCP支援サービスで安心の介護施設運営をサポート

ファミーユでは、介護施設や事業所が業務継続計画(BCP)を効果的に策定できるようサポートしています。具体的な取り組みとしては、以下のような支援を行っています。

BCP策定サポート:施設や事業所に合った業務継続計画を作成。

職員教育・訓練:緊急時に備えた職員への教育と訓練を実施。

リスクアセスメント:施設のリスクを洗い出し、適切な対策を講じる支援。

これにより、介護サービスの安全性と継続性を確保し、万が一の事態にも迅速に対応できる体制を整えます。

さらに、BCP策定に関する質問やサポートを受けたい方はコチラからお気軽にご連絡ください。


田中恵理子@ファミーユ採用マーケティング担当著者:田中恵理子@ファミーユ採用マーケティング担当
介護現場・保育現場の経験、それに加えて、IT・SNSマーケティングについての関心が強く独学を続けてきました。ファミーユの良さを日々伝えていきたいと思っています。


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